2023/03/08
Taro
やったこと
- 岡本太郎展に行った
- 栄の古本屋巡り
今日は naka-chan と岡本太郎展を見に行って、それから栄の古本屋を巡った。
岡本太郎展は本当に見て良かった。
『自分の中に毒を持て』を事前に読んで、岡本太郎の生き方の哲学を知っている状態だったおかげで、作品を見ても「なんだか抽象的だなぁ」みたいな感想で終わらずに色々想像したり、エネルギーを感じたりすることができた。
やっぱり実際に作品を見ると、本で読んだだけでは分からなかった岡本太郎像が見えてきてとても良い。
岡本太郎と言えば『太陽の塔』のイメージばかりだったが、展示を辿っていくと始めの方は不思議な形の物体を描いていたような印象で、ある時期から原色を使ったり顔のようなものを描いたりするようになっていく。
そして徐々に抽象度が高くなっていく感じがした。
またモチーフとしては初期はなぜか赤いリボンが色々な絵に描かれていて、中期は顔のような模様が多くなり、晩年は面や目が多くなっていった印象だった。
このような作品の変遷を会場での時間の流れとともに感じ取れるのも展覧会のいいところだと思った。
さらに展覧会は説明も豊富でおもしろいのがいい。
岡本太郎がフランスで教養を学んだり民族学のフィールドワークをしたりと結構アカデミックな活動をしていたのは知らなかった。
このような背景があったため、生命力や呪力を感じさせるような作品ができたのだと分かった。
特に彫刻作品では、岡本太郎が芸術は一般のものと考えて、実用品に芸術を取り入れたり路上作品を作ったりしたことや、縄文時代の土器や土着の祭りに興味を持っていたことが影響しているのかもしれないが、チャーミングな顔を持った作品がそれなりにあったように思う。
僕は特に『犬の植木鉢』がかわいいと思った。
アートをどう鑑賞するかというのはまだよく分からないのだけど、岡本太郎が「美を創造するものと、それを受けとめるもの、芸術を中心とする人間関係だが、極言すれば、ぼくは、つまり相互は同じ運命にあると思う。1」と述べているように、鑑賞者の相当な精神力と努力が必要なのは妥当に感じる。 岡本太郎が作品にぶつけた情熱や感情に共感して岡本太郎と同じ目線で作品を捉えて、同じ感動を得るため (何の前提知識無しで見ても、何かを感じとることができないかもしれない不安があったというのも理由なんだけど) に予め本を読んでいたが、やっぱり実際絵を目の前にすると難しい。 作品からパワーやエネルギー、不気味な感じ、強いインパクトなどは感じることができても、本で得たような大きく心を揺さぶる感動まではなかなか届かない。 とはいってもアートに対する認識が結構変わったから、鑑賞した意義は大きかったと思う。 今まではアートは歴史を読み取ったり技法や構造を分析したりする対象 (別にアートに詳しいわけでは無いけど、キャプションを読んで作品を"理解"するべきみたいな認識だった) のような見方が強かったが、岡本太郎のことを知って作品を見てから、もっと作者側の苦悩や感情に寄り沿って同じ高さまで届く努力をすることで大きな感動や衝撃が得られるのかもしれないと思った。
古本屋巡りはやっぱり楽しい。 おもしろい本を探す宝探し感があるし、書店によって本の系統の偏りが様々だから色々特色があっておもしろい。 あと栄はたくさん本屋あって、めちゃいいところだ。
思ったこと
人と美術館行くのすごい楽しい。
感想をその場で言い合えるのがいい。
そしてやっぱり美術館では写真は撮っても数枚にして、なるべくその場、限られた時間の中で作品を直接見て考えるのがいいな。
写真を撮るためにスマホ越しに見るとレンズを挟んで見る違和感があるし、写真を撮りすぎると作品のきれいな写真をコレクションすることが目的になって、あまり展覧会に来た意味が無いような感じがしてしまう。
今日の英会話
女性の参政権獲得までの道程についての話。今日 3/8 が国際女性デーで、その特集みたい。
脚注
-
岡本太郎 (2023), 自分の中に毒を持て<新装版>, 青春文庫, p204-205 ↩